インターネットの教育活用で生まれるギャップ

OLYMPUS DIGITAL CAMERAワシントン・ポストの「Survey finds gap in Internet access between rich, poor students」によれば、家庭の経済状態が子どもたちのインターネット活用にギャップを生んでいるというレポートが報告されています。

このレポートはPew Internet & American Life Projectによって発表されたものです。このレポート自体もオンラインで公開されていますのでご覧いただくことができますが、「インターネットは教育現場にどのように影響を与えているか」ということをテーマに、アメリカの現役教師 2,462人に対して昨年春に行われたアンケートに基づいています。

教師本人に与えた影響としては、教材や資料を入手する面では92%の教師が、他の教師とアイデアや情報を共有する上では69%の教師が、保護者とのやり取りの面では67%の教師が、インターネットが大きなインパクトを与えたと答えています。実際に教室でタブレットやPCを使っているかどうかに関わりなく、もはや教育においてインターネットは必要不可欠となっている状況がはっきりと表れています。

その一方で、家庭の経済格差が与える教育への影響についても報告されています。

高所得家庭と低所得家庭の間では、タブレットコンピュータや電子書籍リーダーの所持率に開きがあります。たとえば、タブレットコンピュータであれば、高所得家庭の子供の56%が所有しているという結果に対し、低所得家庭の所持率は37%にとどまっています。また、高所得家庭の教師の半数以上が「自分たちが教えている生徒が携帯電話などでインターネットにアクセスして情報を取得している」と答えているのに対し、低所得家庭の場合はこの割合が35%にまで下がります。家庭の経済状況によって、授業や宿題などで何かを調査する際に使用できる「ツール」に格差が生まれていることになります。

教育におけるデジタルツールやインターネットの重要性が高まる一方で、家庭の所得格差によって新たなギャップが生まれ始めていることで、教師にとっても挑戦となる新たな問題となりつつあります。

日本の総務省が発表した平成23年版 情報通信白書の中でも、インターネットの普及の格差を生んでいる要素として「年齢」に次いで挙げられているのが「所得」となっています。この「デジタル・ディバイド(情報格差)」が、そのまま教育の差にならないような取り組みが求められています。

先進国での通信サービスの価格を調査した総務庁の報告によれば、日本の固定回線のデータ通信にかかる費用は先進国の中でも平均的ですが、携帯電話のデータ通信の費用は最も高いとのことです。より高速な通信が求められることも事実ですが、低速でも安価な回線など、消費者にとって多くの選択肢があることが大切ですね。