高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査について(総務省)

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総務省情報通信政策研究所から「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査<速報>」がリリースされました。

この調査結果を読むにあたって注意しなければならない点が、調査報告の冒頭にまとめられています。

それは、従来世界で幅広く用いられている20項目のインターネット依存尺度(心理学者キンバリー・ヤング博士が提唱)は、スマートフォンなどによるネットへの常時接続、ソーシャルメディアによるコミュニケーションの一般化等、昨今の環境変化を必ずしも踏まえていないため、『現在の基準で依存傾向「高」に分類された者は、ネットの活用度が高いとは言えるものの、必ずしもいわゆる「ネット依存」として医学的な治療が必要な者とは限らないと考えられる』という点です。実際、報告書の中でも「依存”傾向”」という表現が一貫して用いられていて、その辺りへの配慮がなされているように感じます。

ネット依存やスマホ依存は、ちまたでも最近良く聞かれるようになっている人々の関心が高まっているテーマではありますが、この分野での研究や理解はまだ発展途上にあり、全容が判明している訳ではないということをしっかりと前提にしなければなりません。

とはいえ、やはり気になる数字もあります。

①スマートフォン利用により減った時間

睡眠時間が40.7%で一位。次いて、勉強の時間が34.1%となっていて、生活習慣や学業に影響を及んでいることを、生徒自身が認識しているようです。スマホの利用が自分の心身や将来に影響を与えかねないという意識を子どもたちに持たせることが必要です。

②依存傾向が高い生徒の「ソーシャルメディアでよくやりとりする人数」

ネット依存傾向が高い生徒のソーシャルメディアでよくやりとりする相手と人数が、「ソーシャルメディア上だけの友だち」が93.1人と最も多く、「今通っている学校の友だち(14.1人)」、「以前通っていた学校の友だち(10.4人)」等、実際に接触したことにある友達とのやり取りと比較すると、圧倒的に多い状況にあるようです。ソーシャルメディアは「なりすまし」も可能で、様々な思惑をもったユーザが利用している世界なので、その辺りの子供たちの理解について注意が必要です。また、実際の世界での友だち作りもバランス良くできているのかどうか?についても気にかけてあげる必要がありそうです。

③利用する際、悩んだり負担に感じること

『自分が書いてしまった内容について、後から「あれで良かったか」などと悩む』が27.7%で一位。次いで「メッセージを読んだことがわかる機能(既読チェックなど)があること」が22.4%。三位が「友達とのやりとりをなかなか終わらせないこと」で17.6%という状況です。主にコミュニケーションの面で悩んだり負担を感じている様子が伺えます。スマホやSNSは便利で楽しいコミュニケーションツールではありますが、「文字表現だけでは気持ちが伝わりにくい」とか「相手の感情や置かれている状況が、的確に把握できない」などといった特徴をよく理解して使う必要性を教育する必要があります。

まだまだ発展途上のネット依存研究の分野ではありますが、こうした調査が行われて、若者たちの現状が広く伝えられることは、大変意義のあることだと思います。今後も引き続き、この分野の研究や調査の推移を見守っていきたいと思います。